鼻ピアス
最初会ったときは醜いひとだと思った。緊張して顔の筋肉が引きつっていたのかも知れない。左の小鼻のところに金色の鼻ピアスをしていたのもそう思った理由の一つだったかも知れない。
彼女に会う前日に知り合いのイギリス人インタンとゴシックの話をしたことが影響していたのかも知れない。日本にはゴスロリ=ゴシックロリータと呼ばれるものがあるということを話すと、インタンはゴシックとロリータは全然調和しないものだという。少なくともヨーロッパでゴシックと言われるファッションは好感の持てるものではない。ゴシック・ファッションをまとっている人達は好感を持ってもらおうとも思っていない。唇、へそ、乳首等にピアスをしたり、毛皮やチェーンを身体にまとったりというような野蛮さを示すファッションで、ロリータのようにふわふわしたものとは正反対であるという。ゴシックなるものは写真では見たことがあるが実物はみたことがなかった。インタンのそういう話を聞いたことに影響されて、鼻ピアスを見ただけで、こちらが一瞬構えたことが、彼女の顔の表情に微妙に反映したのかも知れない。
同じホテルに泊まったにもかかわらず、食事の話をする前に彼女は一人でホテルを出て行ってしまった。後ろ姿だけ見たのだが昼間の黒いスーツ姿とは違ってジーンズの上に黄色いアノラックを着ていた。最初会った印象よりは若々しい感じの服装だった。初めての町だと言っていたのに、一人でさっさとホテルを出ていくというのはどういうことだろう。夜の町に一人で遊びに行くようなひとなのだろうか。
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